繁盛店づくりのプロフェッショナル

The professional Interview

株式会社カーヴァストゥディオ,矢島和彦

株式会社カーヴァ・ストゥディオ 代表取締役 矢島和彦

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株式会社カーヴァ・ストゥディオ
クリエイティブディレクター
代表取締役 矢島和彦

 

PROFILE

1966年生まれ。

1989年株式会社エムディー入社 設計部、商品開発部にて商業施設の空間設計に携り、インテリア設計はもとより、ビジネスのイロハを吸収する。

1994年には、独立し、株式会社カーヴァ・ストゥディオを設立。その後、秋山道男氏に従事しながら、プロデュース業活動にも専念。バブル崩壊後を期に活力を失った日本から海外に活動拠点を変え、上海、シンガポール、ロンドン、パリ、ニューヨーク、ミラノにおいてデザイナー、プロデューサーとの交流、人脈を深める。

ロンドンのプロデューサーアランチャウ氏に認められ、海外での仕事を拡げ、その功績からその後、有名ファッションブランドのディスプレイをはじめ、外資系五つ星ホテルメインダイニングや海外ブランドショップの飲食スペースなどの仕事を獲得するようになる。現在は、某PR会社と契約し、今後は、デザイナーとしての領域を越え、クリエィティブディレクターとして活動を行っていく。

 

実績

フィーゴ、ジョルジオアルマーニ、エスプリジャパン、インターコンチネンタルホテル、

資生堂、森ビル、サントリー、総務省、鹿島建設、オンワード樫山、電通、博報堂ほか

 

写真協力 

ブルガリ ホテルズ & リゾーツ・東京レストラン

スタイリング

 ストラスブルゴ

yaji2917@gmail.com

 

 

 

真のブランディングデザインを求めて。ビジネスの眼、クリエイターの眼。

株式会社カーヴァ・ストゥディオ 矢島和彦

日本、そして海外で、個人のご依頼から一流ブランドのお仕事まで幅広く活動をされてきましたが、まず昨今の店舗デザインについてのお考えをお聞かせください。
世の中の商品を含めて、流行のサイクルが確実に早くなってきているのは周知の通りです。よって、その時代にのった一過性のインパクトを狙った店舗デザインも否定することはできませんが、当然のことながら、やはりそこには、クライアントの経営戦略やそれぞれのおかれた状況をより綿密に分析をおこなった上でないといけません。

例えば、私の場合、安易なブランド戦略をスタートから手がける企業ではなく、長い歴史から育ってきた本来の意味でのブランドを持つ企業との仕事をやってきました。その視点に立った場合、店舗デザインに求められるのは、カンや流行レベルで一過性の話題性を呼ぶものではなく、しっかりとした事業計画、ブランディング、マーケティングに基づき、その全てに貢献しうる、1要素としてのデザインです。決して奇をてらうものではない。言いかえれば、それなくして時代に根付くデザインはうまれない。必然的にそこには“究極の居心地感”が“センスの良いシンプルな形”となって現れてきます。私が手がけた店舗が、10年、20年と大きな内装変更をともなわず、営業を続けているのは、あえていうなら、ビジネスを精通したうえでの店舗デザインと、本物感によるものと自負しております。それと忘れてはならないのは緻密な数字。これなくして確実なプランニングはありえません。

私がインテリアデザイナーにとどまらず、商業施設の事業計画から、ブランディング、マーチャンダイジング、マーケティングまで手がけているのは、クライアントからの要望でもありますが、全ては「美」に通じるからです。商業的な「美」とは、クオリティの高さとブランドの誠実さを発する結果から生まれるからです。

 

 

なにか矢島さんならではのデザインに対する世界感を感じます。あえて、矢島さんの中でのデザイン論を展開するなら、どう表現しますか?

うまくお伝えできるかわかりませんが、私が仕事に取り組む姿勢は、「美」に対する思い入れかもしれません。それは私の美意識にも通じますが、デザイナーとしては現代版の千利休の美に対する執着心みたいな感覚です。ですから私のデザインは、一過性や時流を追いかけるものとは違う世界感から生まれます。

ただし、私の立ち位置は、アーティスト、芸術家ではありませんから、そこにはやはり緻密な計算があります。どこまで商業という中で「美」を追求できるかは、葛藤がありますね。

 

 

コストを押さえた店づくり、居抜き出店などお金をかけずに早期回収できる店舗経営という時流も90年代後半よりスタンダード化されておりますが、その点はいかがでしょう?

今の市場環境から考えれば、当然そういうベクトルが働くと思います。単純に時流にあったデザインをし、集客力を高め、オーナーの投資資金の早期回収をめざし、その後はいち早く利益を!という考えですね。なかなか時代の要請もありますし、リスクとどう向き合うかはクライアントによって様々ですので、なんとも言えませんが、例えば建長寺(編集部注:鎌倉時代1253年創建)のような店づくり、高い志をもったデザイン。そういう視点は失いたくないですね。設計料がどんなに高くても、その永続性で、長い目で見れば莫大な利益が生じることは可能ですから。

私がヨーロッパを廻って感じることの一つに、日本における、過去にあった日本文化を否定するような、3年、5年という店づくりを中心とした刹那的な商環境への悲しさですね。ヨーロッパは文化を大切にします。「オタクの店なんかまだ100年じゃないか!」なんていうカフェのおやじとかいますから(笑)

 

 

では、例えば個人が持つお店において、繁盛店、長く愛されるお店になるポイントはいかがでしょう?

正直こういう質問は苦手です。なぜなら、大手だろうと個人だろうと、長く維持できる店、いわゆる繁盛店づくりのためには、クライアントのおかれた立場、条件によって様々な要素が絡んできます。よってお客様によって絶対の原則とともに、ケースによる特化ポイントを突き詰めていかなければなりません。

あえて3つあげるとしたら、飲食店ならば、1「鮮度、味の良さをともなった適度な料金設定」2「接客などのサービス」3「居心地のいい空間デザイン」ということでしょうか。当たり前のことですが、要は空間設計を大切にしながらも、視点はあくまでもビジネスをトータル考えることです。

 

 

ずばり、商業デザイナーとしてのポリシーをお聞かせください。

ポリシーですか?そうですね。1.自分のセンスを信じきる。2.クールかつ客観的な視線をもつ。3.常に前向き、まっすぐな強さ。4.感性と感覚のバランス。 5.オリジナリティ。6.ビジョンの構築を全ての案件に対して徹底すること。これは譲れません。クライアントは単なるデザイナーだけの能力以外に、このような頑固な視線やクリエイターとしての感性も求めてきます。空間デザインはもとより、マーチャンダイジング、マーケティングを扱うケースも多く、現実的に行う方法論や方向性、具体策を提示できなければなりません。

これらの基本が、私のモノづくりの原点です。それらを納得するまでクライアントととことんやりあうのが私のスタイル。そしてその感情や情熱が、成功への道のりにおいて大切だと思うんです。頭と心がともなっていい仕事ができるんじゃないでしょうか?それとよく遊び、よく学ぶ。ですかね。(笑)多くの交遊、遊び、趣味、買い物、恋愛(笑)、、、。

それら一人の生活者としての活動から見えてくる、生まれてくる市場感覚。さらには世の中に足りないものを自分の中で感じること。そういうことって、今の賢いけど、一歩飛び抜けない次世代のクリエイターたちに足りないことかもしれませんね。小さな枠、先輩たちの発想を打ち破ってほしいですね。

 

 

今後の展望をお聞かせください。

正直現役バリバリで私が全面で現場を仕切っていくのはあと、5、6年でしょう。マーケットの大きい東京は、むろん活動拠点の中心ではありますが、できればロンドン、パリ、ミラノ、ニューヨークに拠点を設け、日本人デザイナー進出の橋渡しのようなことをしていきたいですね。

 

 

 

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