繁盛店づくりのプロフェッショナル

Special Interview

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「小規模経営」で多業態展開する“金井秀樹流”経営術

「小規模経営」で多業態展開する“金井秀樹流”経営術

 

神楽坂、新宿御苑を軸に4店舗の人気飲食店を展開するSTPDファーストゲートは、代表の金井秀樹氏が「Smile Thank you People Dream」をコンセプトに1995年設立した会社だ。情報が蔓延し、人々の好みも細分化している昨今、金井氏は当時から「専門に特化した店づくり」にこだわり、多業態経営の成功へと導いてきた。とはいえ、決して恵まれた環境からスタートしたわけではない。25歳で母親が経営していた「お好み焼き屋」を引き継ぎ、3つのアルバイトを掛け持ちして貯蓄した500万円の自己資金を投入しリニューアル。個人開業者として試行錯誤しながら飲食店経営の道を歩き始めた。「小さな成功を集めていき、大きな成功に結びつけていった」という金井氏。「開業・経営を成功させる秘策」について、自らの経験を振り返りながら語ってもらった。

 

金井秀樹(中央)有限会社STPDファーストゲート 代表取締役

金井秀樹(中央)有限会社STPDファーストゲート 代表取締役

 

 

1967年東京生まれ。学生時代から飲食店でのアルバイトを重ね、家業のお好み焼き店を引き継ぎ新装開店。1995年 STPDファーストゲートを設立。にんにく料理店「はじめの一っぽ」(神楽坂)、「Wine&meat kasumi store」(新宿御苑・神楽坂)、「Hamburg Will」(新宿御苑)を展開。10月には「Mrs. burg」を池袋にオープン。コンサルタントとしても活躍中。写真は「カスミストア 神楽坂店」のスタッフと。www.hajimenoippo.co.jp

 

 

 

 

 

自己資金を投入し家業の店を再生 思いつくことは何でもやってみた

大学を中退後、和食、多国籍料理、モダン居酒屋など多業態飲食店でアルバイトを重ね、そのなかで店長経験や料理の技術を取得していきました。飲食の仕事を選んだのも自然な流れでしたし、独立心は強かったですね。ですから、アルバイトを3店舗くらい掛け持ちしながら、25歳のときには貯金が500万円ぐらいはあり、28歳で起業したいと考えていたんです。そんなとき母親が経営していた「お好み焼き屋」の借り手を探していて、予定外ではありましたが引き継ぐことに。親子関係といえども、造作譲渡金などを支払い、通常のオーナーと借り手という関係で契約を交わしました。店舗は江戸川区にあり、駅から徒歩20分、19時を過ぎると辺りは真っ暗になってしまうという3等立地。自己資金内でできる限りのリニューアルはしてみたものの、1日の売り上げは4万円程度。最初の頃は、午前中は仕出し弁当の仕事、夕方からお好み焼き屋を開店という二足の草鞋を履いていたんですが、「これでは駄目だ」と奮起して、残りの全自己資金を投資して再リニューアル。3ヶ月かけて、人気店のリサーチ、メニューの見直しと改善を行い、1年後には12坪で月商400万円にすることができました。とにかく、思いつくことはすべてやり、お客様の反応を肌で感じながら、独自の路線、店舗としてのビジョンを追求するようになっていったんです。

 

限られた予算、立地条件だからこそ経営者としての実力が試される

それから3年半後、28歳のときに会社を設立し、創作にんにく料理のお店「はじめの一っぽ」をオープンしました。当時、にんにく料理専門店はまだ少なかったですし、栄養価も高く、女性に人気も高い。食材として魅力ある食材だと確信し、にんにく料理専門をコンセプトに決めました。立地は、アルバイト時代から馴染みのある神楽坂。当時の神楽坂はまだまだ敷居が高く、最初は、不動産屋で「10坪程度で、造作料700万円、保証金600万円」といわれ、「いい物件があったら、すぐ決断し、すぐ支払います!」とお願いしたところ、最終的に、造作料350万円、補償金400万円と自己資金内で見つけることができました。残りの自己資金は限られていたので、内装はできるだけ居抜きを活かし、看板を変えたくらいで、塗装も自分たちでしました。少ない資金でもやり方次第。遠方からお客様に足を運んでもらうには、知恵を絞って、感性をどう活かすかが大事だと感じていましたし、制限がある状況だからこそ実力が分かる、と。20代は試行錯誤をしながら、経験を積み重ね我流の経営学を身につけていった時期でした。

 

「はじめの一っぽ」も最初から繁盛していたわけではありません。その頃ライフワークとなっていた食べ歩きをしては、「どうしてこの店とうちとでは集客の差があるんだろう? 違いは何だろう?」と自問。いいと思うことはどんどん実践し、失敗を繰り返しながらも、小さな成功を集めて、大きな成功に結びつけていき、成功法則を見い出していきました。

 

当に求められるものは何か?探究を超えてこそ喜びが生まれる

「小規模経営」で多業態展開する“金井秀樹流”経営術新宿御苑の「Hamburg Will」をオープンした6年前は周囲にほとんど店舗がなく、ひっそりとした環境でした。それでも、「最高級銘柄の豚100%のハンバーク専門店」「大人が楽しめる空間」に特化したことで、他店にないお店として評価して頂き、週末には行列のできるお店になりました。最近では周辺に飲食店も増え、不動産屋さんから「Willさんはパイオニア的存在ですよ」といって頂いています。そして、女性に向けたハンバーグ専門店「Mrs.burg」を(2013年)10月、池袋にオープンします。ここの内装はフランスのビストロ風のデザインにし、豚肉100%とイタリアから取り寄せたお皿を使い、女性がひとりでも入りやすい空間に。また、夜はワインを飲みながら、自家製のフォカッチャにイタリアンの前菜、メイン、デザート、コーヒーまで付いて2,980円というコース設定にしました。

 

なぜ女性向けのハンバーグ専門店をコンセプトにしたのか? それは、なぜ牛丼屋さんに女性ひとりで入りにくいのか?という発想からです。一人で抵抗なく入れる空間、美味しいだけでなくプラスαがある、そして、人に教えたくなるお店であること。今までの「ハンバーグ屋」のイメージを覆す店であれば、女性の潜在需要を掘り起こせるのではないかと。私は常に、お客様にはストレスを与えないこと、求められるものをしっかりリサーチして実践していく、さらにその期待を超える喜びや感動を提供したいと考えています。そこからアイデアが生まれ、新しいコンセプトへとつながっていきます。

 

劣悪な労働時間は悪循環になるだけ自分を磨く時間が利益を生み出す

私は、個人向け飲食店経営のコンサルティングもしているのですが、相談に来られる夜型営業主体の飲食店経営者の多くが、「利益が出ないことでランチ営業を始めた」といいます。個人経営でランチを始めてしまうと、午前中から深夜まで働くことになり、肉体的疲労、思考回路の低下、さらに心の余裕もなくなり、負の連鎖に入ってしまうことになりかねません。アルバイトの学生がそんなオーナーの姿を見たとき、「魅力的な仕事だな」と憧れるでしょうか?経営者にとって休憩時間や休日は、新メニューの考案、他店舗のリサーチ、自分のスキルや感性を磨く大切な時間なのです。

 

まず、ランチ営業をするという目先の利益を考えるのではなく、短い労働時間のなかで利益を出す仕組みをつくらなければいけない。お店を大きくし過ぎてはないか? 家賃は高すぎないか? 人を雇い過ぎてはないか? お客様は一見さんばかりではないか? そういう現状や体制をもう一度見直し、改善していかなければ利益の出る、儲かる経営に立て直すことは難しいと思います。

 

そして一緒に働くスタッフにもなるべく、週休二日制、休憩時間の確保、夜の勤務時間の短縮など、過酷にならない労働環境をつくる努力も大事です。しっかり利益が出て、スタッフに還元することでスタッフ自身の安定につながり、働く意欲や恩返ししたいという気持ちが生まれ、双方の関係性も良好となっていくのではないかと考えます。うちの3店舗の場合はランチ営業はせず、「Hamburg Will」はランチ営業をしていますが、20時をラストオーダーにしています。それでも十分利益が出る経営ができているからです。日本の飲食店の大手は約5%、あとの95%は中小、個人経営です。だから個人経営が参入しやすく、夢がある仕事なんです。

 

利益が「出た」、ではなく「出す」主導的に実践しないと成功はしない「小規模経営」で多業態展開する“金井秀樹流”経営術

ではどうしたら利益が出る経営ができるか? 私がコンサルティングでも活用している「利益を出す2つの鉄則」があります。

●ふたりで営業できる規模の店にすること。●1等立地はNG。2等立地か3等立地を選ぶ。

 

ふたりで営業できるとなると、必然的に10〜14坪程度。客数は20〜25席程度になります。家賃比率は全体の売上の10%までです。経営には固定経費として、家賃、人件費、材料費がかかり、全体の70%を占めます。たとえば、200万円の売上を予測するなら、家賃は最低でも20万円まで。理想をいえば8%。うちの店舗は10〜14坪で、家賃は6〜7%、全体利益の25%が個人利益となるように設定しています。最小リスクで最大の効果を上げることで利益率は上がります。また、客席数が少なく、客単価が低いお店は儲かりにくくなります。20〜25席、客単価が3,000円のお店だと、10万円売り上げるのに33人のお客様を集客しなくてはいけない。ふたりで営業しているお店で1.5回転させることはかなりタイトです。ですから、うちの店舗は夜営業の客単価を5,000円に設定。東京の場合、5,000円は日常店と非日常店の際なんです。普段、6,000〜7,000円位のお店を活用している方や、ちょっと背伸びしたいなという20代の方、そんな幅広いお客様層も取り込むチャンスにもなります。

 

そして、小規模なスペースであることで、お客様とスタッフの間もアットホームな関係が生まれ、2名でも十分営業が可能になります。ランチ営業をやらずとも、週休二日制にしても、固定経費を抑えれば、工夫次第で利益を上げることは可能なのです。利益は「出た」ではなく「出す」、「上がった」ではなく「上げる」なのです。主導的にやらなければ利益は生まれません。

 

私も含め、開業される皆様も、最終的にしあわせになるために仕事をしているのだと思います。飲食店という仕事を通して、豊かに、いかにしあわせに近づけるか大事ではないか、と。ですから、飲食店という仕事が、希望、夢を与えられるものであることを発信し、共有していくことが自身の課題であり、使命だと考えています。

 

 

STPDが展開する店舗 はじめの一っぽ|にんにく料理(神楽坂)

住:東京都新宿区神楽坂4-5    ☎:03-3260-3500

営:日〜木18:00〜23:30(Last Order 22:30)

金・土・祝前 18:00〜24:00(Last Order 23:00)

休:無休

 

  STPDが展開する店舗 Hamburg Will|ハンバーグ専門店(新宿御苑)

住:東京都新宿区新宿1-3-8 YKB新宿御苑ビル101

☎:03-3358-4161

営:ランチ    11:30〜15:00(Last Order 14:00)

ディナー 17:30〜21:00(Last Order 20:00)

休:無休

 

 

  STPDが展開する店舗 Wine&meat kasumi store|ワインバー(新宿御苑)

住:東京都新宿区1-19-2 平ビル1F   ☎:03-3351-7741

営:18:00〜23:30(L.O.22:30)   休:無休

 

 

  STPDが展開する店舗 Wine&meat kasumi store|ワインバー(神楽坂)


住:東京都新宿区神楽坂3-6 金井ビルB1F   ☎:03-3260-5747

営:18:00〜23:30(Last Order 22:30)    休:無休

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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