繁盛店づくりのプロフェッショナル

日本とヨーロッパ、 それぞれの空間美学

オランダ人建築家、フランク・ラ・リヴィエレの視点 日本とヨーロッパ、それぞれの空間美学

外部と内部のつながりを意識すれば、より心地よくなる

世界がボーダレスになった今、私たちは日本に居ながらにしてさまざまなデザインに触れることができるようになった。しかし、オランダ人建築家・フランク・ラ・リヴィエレ氏は在日23年になるが、いまだ、日本とヨーロッパとの違いを感じることがあるという。次々、壊されては建て直される建物を見て、寂しさを覚えることも少なくないらしい。

とはいえ、国の風土や気候、歴史などは、建物に多大な影響を与える。「日本で木材を多用するのは、高温多湿で木も豊富、地震が多い国だから。木材は呼吸する建材で手に入れやすく、木造構造は力を受け流すしなやかさがあった。反対にヨーロッパは石やレンガがメイン。入手しやすく地震も少ない。かつては敵から街を守るにも好都合でした」。材料一つとっても、国によってさまざまな要因が絡み合っているというわけだ。

さて、ヨーロッパ、とりわけオランダ人の目には、現在の日本の空間デザインがどのように映っているのだろう。
「私たちは内部と外部との関係性、つまり景色や光、風と建物のつながりを重要視します。その建物だけで存在しているのではない。周囲の環境や自然がある。それを取り入れれば、周辺のよさが内部でも味わえる。かつての日本には、それがありました。現在、特に都市部では建物が隣接していてクリアしにくいポイントかもしれませんが、内部の奥行きを考慮しつつ、根気強くレイアウトを組み替え、アイデアを練り直せば、その場を生かした心地よい空間は作り出せると思う」
一方で、日本はコンパクトなスペースにいろいろなものを入れ込むのが上手だともいう。限られた空間の中で快適に過ごす智恵を持っていると感じると、ラ・リヴィエレ氏。

「オランダ人だからといって、オランダの流儀を日本で再現しようとは思わない。ヨーロッパにいた経験や視点を通しつつ、日本の環境や土地を生かして、ヨーロッパの場づくりのエッセンスを伝えていけたらいいですね」

 

 

Difference  Between  Japan and Europe

ラ・リヴィエレ氏が感じる、
日本とヨーロッパにおける商空間のインテリアデザインの違いとは?
大きく4つのポイントを挙げた。

 

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日本において新しい建物は、古い建物を壊して建てるのがほとんどだ。しかし、ヨーロッパでは既存の建物をいかにリノベするかがデザイナーの腕の見せどころ。レンガや石でつくられているため、簡単には壊しにくいというのも要因の一つではあるだろう。ただ、ヨーロッパでは、景観の問題は行政が取り組む課題だという共通認識もある。簡単に取り壊し、好みの建物を造ることはできない。歴史ある建物の中に、今どきのモダンなインテリアという店は、よく目にする。もちろん、内部と外観のマッチングは、必須条件である。

 

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近年、日本でも街中で原色を目にするが、やはり日本人は深みのある、やさしい色使いに落ち着きを覚えるのではないだろうか。ヨーロッパは、ハイコントラストで原色がアクセントとして使われることが多い。ヨーロッパの太陽光の関係もあるだろうが、1900年前半に活躍した芸術運動デ・ステイルというグループの影響も小さくはない。右の写真は、デ・ステイルの主要メンバーでオランダ人建築家ヘリット・リートフェルトが設計したシュレーダー邸(世界遺産に登録)。白を基調に、青や赤、黄色が見事なアクセントに。特に大きな窓の設計はいかにもオランダらしい。

 

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日本の特徴に、多彩な席種がある。大きなテーブル席があれば、2人がけだったり、個室も完備されていたりと、さまざまな席種が当たり前だ。ヨーロッパでは、すべて同じ規格のテーブルやイスがあり、店によっては大きなテーブル席が中央にどんと置かれている程度だ。さらに、日本特有の壁に向かって食べる一人専用の席には驚かされた。「食事は会話を楽しむもの」というヨーロッパとの違いを実感した。ところが、昨年、オランダでも一人専用カフェがオープン。さすがに壁に向かった席はないが、時代は変わってきているのかもしれない。

 

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日本では、カーテンやブラインドで外からの視線を遮断するのが一般的だ。ところがオランダでは、ほとんどがオープン。内部は、「うちはこんなにステキなの」といわんばかりに整い、窓際にはセンスよいインテリアが飾られている。道行く人も中をうかがい、外を歩く人に手を振っている光景もよく目にする。オランダは北国のため、日差しが弱く、少ない。そこで大きな窓を設置し、多少なりとも外光を取り入れることで、室内を明るくしたいという配慮による。

 

 

フランク・ラ・リヴィエレ

 

 

PROFILE
1961年生まれ、オランダ出身。デルフト大学工学部建築学科卒業後、レンゾ・ピアノ・ビルディング・ワークショップなどに勤務。来日し、2007年フランク・ラ・リヴィエレ・アーキテクツ設立。一級建築士。ICSカレッジオブアーツ客員教授兼任。

名称株式会社フランク・ラ・リヴィエレ・アーキテクツ
TEL03-3428-4046
営業時間10:00~19:00
定休日土曜・日曜・祝日(対応可)
URLwww.frank-la-riviere.com
住所東京都世田谷区世田谷2-11-3
設立
従業員数
対応エリア全国・海外
施工実績 メゾンエルメス銀座、ねぶたの家ワ・ラッセ、DESK LABOなど

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