ヨーロッパとニューヨーク
旅が“本物”を教えてくれた
佐藤 しげる
DESIGN LABEL KNOT 代表取締役
一歩足を踏み入れれば、その店が自分を歓待してくれていることがすぐに分かる。
一人でも、大勢でも、おいしく楽しい時間が過ごせる場所。
DESIGN LABEL KNOTの佐藤しげる代表が生み出す空間は、そんなフレンドリーなもてなしの心が隅々まで満ち溢れている。
グローバルダイニング所属時には「ZEST」「権八」といった個性的な店を手掛け、業界の注目を浴びた佐藤氏。
現在彼が率いるDESIGN LABEL KNOTもまた、数々の人気店を生んでいる。
常に時代の一歩先を歩む、佐藤しげる氏の創作へのこだわりとは?
●Profile
1969年生まれ、東京都出身。1990年東京デザイナーズ学院卒業。数社を経て1998年グローバルダイニング入社。本社企画部にて店舗の企画・デザイン・管理業務を担当。2004年フリーランス。2005年DESIGN UNIT KNOT設立、2006年DESIGN LABEL KNOT設立。バンタンデザイン研究所講師。
“体験したからこそ形にできる、本物の手触り”
店舗デザインにおけるDESIGN LABEL KNOT佐藤しげる氏のポリシーは「基本をきちんと知る」こと。和であれ、洋であれ、単なる“もどき”ではない空間をつくり上げるために、まず自らが本物を知ることを第一とする。
「丸の内の『BISTRO DOUBLE』を手掛けた際は、クライアントと一緒にフランスへ行きました。いろいろなお店を共に楽しみイメージを共有したことで、お互いに同じ引き出しで考えることができたと思います」。パリのビストロに欠かせない“本物”とは何か。それは具体的なモノの有無だけでない、と佐藤氏は言う。「写真では絶対に分からないことがある。手触り、匂い、空気。歴史や重みを理解した上で、初めてそこに今成り立っている空間を知ることができ、モノの裏側が見えるようになる」
今回のパリ行きは、彼にとって思い出の地を再確認する旅でもあった。25歳のとき、佐藤氏はヨーロッパへ旅に出る。「そのとき所属していた事務所が手堅い仕事中心の“小さい志向”で、それがつまらなかった。どうしても本物を見て勉強したいと思い、数ヵ月の旅に出たんです」。ロンドン、バルセロナ、ミラノ、ウィーン、パリ。気ままな一人旅。「ガウディを見たくて、バルセロナには1週間ぐらいいたかな。でも一人旅って飯の時間が困るんだよね」。先日のパリ行きは一人旅では味わえなかった食の喜び、豊かな文化を満喫したことだろう。
ヨーロッパから帰国後、飲食店のデザインをやりたいという気持ちが固まる。今度はアメリカでレストランのデザインを見て回ろうと、友人と2人でニューヨークへ。「ニューヨークはとにかく全てが桁違い、センセーショナル。もしニューヨークとヨーロッパへ行く順番が違っていたら、僕の人生は全然違ったものになっていたはず。それぐらい強烈だった」。ニューヨークとロサンゼルスにそれぞれ1週間。本物を体験し、自由でエネルギッシュな空気を知った佐藤氏は、1998年グローバルダイニングに入社。実力主義、チャレンジを是とする空気の中で、彼の才能は一気に開花する。「ZEST 恵比寿店」「権八 西麻布店」といった話題の店を次々に手掛け、一躍名を馳せた。大胆で新しい、訪れる者を非日常へといざなう空間。本物の持つ素材感とエンターテインメント性の融合。その絶妙なバランス感覚から生まれた空間は、多くの人々を驚かせ、また楽しませる。
そして独立後、DESIGN LABEL KNOTを設立。KNOTのクライアントは大企業から初めて店を持つ個人オーナーまでさまざまだ。「大手であれ個人であれ、クライアントとデザイナーは同じチームの一員だと思っています。個人のお客様とは物件探しから一緒に歩いたり、予算の節約方法で頭をひねったり。お客様と一緒にあれこれ考えるのが楽しい」。ゲストをにやりとさせるサプライズを忍ばせる遊び心は、個人店であっても変わらない。
これまで数多くの繁盛店を手掛けてきた佐藤氏が考える売れる店のキーワードは、“お一人様”と“女性客”。「一人で来た客を帰させない、飽きさせない。そして女性に支持されること。僕はラーメン屋であっても、女性が入れる店ということを意識してつくっています」。なるほど、佐藤氏が手掛けたラーメン店「饗くろ㐂」は小粋ですっきりとした佇まい。連日行列が絶えない超有名店となった。また、坪あたりの月商全国2位を叩き出したカウンターだけのイタリアン「PASTAVOLA」は大手町にも出店。女性一人でもパスタが楽しめると人気だ。
「スタッフがこの店で働いていてうれしいと思える店には、いい空気がある」と佐藤氏。知らない客同士が話せるような空気は居心地の良さにつながり、店を盛り上げる。人と人、人とカタチ、そしてビジネスをつなぐ結び目。それが“KNOT”である。
パリのビストロの空気をそのまま再現”
奇をてらわず、きちんとしたものをつくる。よりパリらしく。それをコンセプトに、カラーリング、質感に配慮しデザイン。高い天井がパリのビストロらしい空気を演出する。30坪ほどの店内はカギ形で使いづらいことを逆手に取り、来店客をすぐに迎えられるレイアウトとした。
カジュアル感と大人の雰囲気をミックス
みなとみらい、ドックヤードガーデンのオイスターバー&シーフードレストラン。オイスターバーであっても高過ぎない、手頃感とカジュアルさをアピールした。両サイドの店舗に負けないよう、ファサードはインパクトを意識的に強めている。
女性の一人客を飽きさせないカウンター配置
三田で大人気のパスタ店が大手町に進出。女性の一人客が気軽に入れるカウンターのみの店舗だ。繁盛店である三田店の居心地の良さをモジュールとして移植。カウンターからキッチンまで見えることで、客の領域を守りつつ広さを感じさせる距離感を実現する。
分かりやすさ、にぎやかさは繁盛店の要素
コンセプトは「上野で楽しくお好み焼き」。場所柄、家族連れやカップルなど幅広い客層が想定された。そこで上野らしさを大胆な和のビジュアルで表現。随所に西郷さんやお好み焼きをイメージする円形やコテがモチーフとして配されている。
名称 | DESIGN LABEL KNOT | ||
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TEL | 03-3551-6922 | ||
営業時間 | 11:00~20:00 | ||
定休日 | 日曜・祝日 | ||
URL | www.knot-knot-knot.com | ||
住所 | 東京都中央区八丁堀2-1-7 神鋼レジスタービル3階 | ||
設立 | |||
従業員数 | |||
対応エリア | 全国 | ||
施工実績 | 板前寿司(寿司屋)、煮ジル(大衆ビストロ)、KODAMA(デリ)、いしがまやハンバーグ(ハンバーグ)、Forbidden Fruit(カフェ)など |
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